調節(整)池の多目的利用

 調節(整)池は、公園、運動場施設等として多目的に利用する

ことができる。なお、多目的利用に当たっては、原則として「宅

地開発に伴い設置される洪水調節(整)池の多目的利用指針(案

)」によるものとする。

【解説】

1.宅地開発に伴い設置される洪水調節(整)池の多目的利用指

  針(案)の策定経緯

  調節(整)池の多目的利用については、昭和58年8月建設省

 事務次官通達「宅地開発指導要綱に関する措置方針」において

 も、これを積極的に進め、土地の有効利用や都市環境の整備を

 図ることとされたが、設計上留意すべき事項及び管理上の調整

 事項については、「宅地開発に伴い設置される洪水調節(整)

 池の多目的利用指針(案)」(建設省建設経済局長通達、昭和 

 61年4月)に定められた。

  調節(整)池は、宅地開発に伴って増大する洪水時の流出量

 を抑制することを目的としているが、住宅地に隣接しているた

 め、平常時において周辺の土地利用となじみにくい場合がある。

 このため、調節(整)池の構造を工夫して公園・運動施設等とし

 て多目的に利用することによって、土地の高度利用が図られ、都

 市景観・環境を向上させる等の多くの効果が期待できる。多目的

 利用の概念を別紙で示す。

  以上です。

※上記の調節(整)池の多目的利用の解説は「宅地防災マニュアル

 の解説」の引用です。

下流河川等への接続

 下流河川等への接続については、土地利用、周辺の宅地化の状

況、地形等を勘案の上、下流の人家、道路等への被害が生じない

ように配慮するものとする。

 特に、洪水吐き末端には減勢工を設けて、洪水吐きから放流さ

れる流水のエネルギーを減勢処理する必要がある。

【解説】

1.下流河川等への接続

   調節(整)池から放流する流水は、確実に下流河川等に接

  続して流れるようにしなければならない。

   下流河川等の断面は、洪水吐きの水路断面に比べて一般に

  小さいため、周囲の土地利用状況、地形等を勘案して接続位

  置、接続方法等について検討する必要がある。

2.減勢

   洪水吐きから流下する流水は、一般にダムのせき上げによ

  る大きなエネルギーを保有しており下流河川等への接続に当

  たっては、下流河川等の流れと同等のエネルギーにまで調整

  して放流するために、導流水路と下流河川等の間には減勢工

  を設けなければならない。

3.下流河川等の対策

   下流河川等が扇状地内を流下するような場合などにおいて

  は、河川等の縦断勾配や構造等について検討を行い、河床の

  洗掘の可能性がある場合には、必要に応じ護床工を計画する

  など必要な対策を施すものとする。

   また、下流河川等の線形が急に屈曲している場合などには、

  流水が溢水して人家に流入したり、道路をつたわって流れ、

  思わぬ被害が生じることもあるため、屈曲部付近の溢れの可

  能性について十分検討を行い、必要に応じて対策を講じなけ

  ればならない。

   以上です。

※上記の下流河川等への接続についての解説文は「宅地防災マニ 

  ュアルの解説」の引用です。

堤体の施工

 堤体の施工については、調節池の場合は「防災調節池技術基準

(案)により、調整池の場合は「大規模宅地開発に伴う調整池技

術基準(案)」によることを原則とする。

【解説】

1.堤体の施工基準

  調節(整)池の堤体にかかる施工基準は、「防災調節池技術

 基準(案)」及び「大規模宅地開発に伴う調整池技術基準(案

 )」において、次の事項について定められている。

 ①堤体の施工計画

 ②準備工及び河流処理工

 ③堤体基礎工

 ④堤体盛土材料の採取

 ⑤堤体盛土の締固め基準

 ⑥堤体盛土の施工方法

 ⑦接合部の施工

 ⑧ドレーンの施工

 ⑨堤体の品質管理

2.造成工事中の防災措置

   調節(整)池は、造成工事中の降雨等による急激な土砂・

  濁水等の区域外への流出を防止、軽減する観点から、切土、

  盛土などの造成工事に先立って設置することが合理的かつ経

  済的である。

.浸透水対策

   極めて透水性の高い地質の山地・丘陵地において調節(整

  )池を施工する際には、基礎地盤及び調節(整)池周辺から

  の浸透水について十分検討し、遮水壁や暗渠等、必要な対策

  を施すことが重要である。

4.軟弱地盤対策

   軟弱地盤上に調節(整)池を施工する際には、軟弱地盤対

  策工の施工効果を確認するため、動態観測を実施するととも

  に、必要に応じて適切な対策を行わなければならない。なお

  、軟弱地盤対策そのものは、別紙「軟弱地盤対策」を参照す

  るとよい。

   動態観測は、調査・設計時に予測した現象が実際に生じて

  いるかどうか、対策工法の効果が予測どおりであるかどうか

  を照合するために行うものである。予測しなかった挙動が生

  じたときはその原因を追及し、一刻も早く対策を講じなけれ

  ばならない。

   以上です。

※上記の堤体の施工についての解説は「宅地防災マニュアルの解

  説」の引用です。

堤高

調節(整)池の堤高は、高さ15m未満とすることを原則とする。

【解説】

1.「宅地開発等指導要綱に関する措置方針」(昭和58年8月

  2日、建設事務次官通達)においては、『15m未満のダムの

  高さについては、当面、「防災調節池技術基準(案)及び「

  大規模宅地開発に伴う調整池技術基準(案)に準拠して設計

  ・施工がなされるものであれば特に制限する必要はない。た

  だし、砂防指定地内の宅地開発については、その地域の特殊

  性にかんがみ築堤方式とする場合には高さは3m以下とする。

  』となっている。

2.堤高15m以上のダムに適用する構造基準等

  高さ15m以上のダムの場合、河川法及びそれに基づいた各規

 程によることが必要であり、細部規程については、「河川管理

 施設等構造令」による必要がある。なおダムの存置が暫定的な

 場合でも、高さ15m以上のダムであれば同様である。

3.堤高15m未満のダムに適用する構造基準等

  高さ15m未満のダムの構造に関しては、のような法令上の

 規程及び基準がない。よって、「防災調節池技術基準(案)及

 び「大規模宅地開発に伴う調整池技術基準(案)」の適用範囲

 としては、高さ15m未満のダムとされたものである。

  以上です。

※上記の調節(整)池の堤高は、高さ15m未満とすることを原則

 とする。の説明文は「宅地防災マニュアルの解説」の引用です。

調節(整)池の構造(続き4)

5.維持管理段階を見込んだ構造検討上の留意事項

  調節(整)池の構造検討に際しては、維持管理に支障のないよ

 うにするため、調節(整)池の設置位置を含め、ダムの型式、堤

 体材料、堤体形状、洪水吐き、放流施設等について十分に検討す

 ることが必要である。また、無用の者の立入禁止、水位標識の設

 置、堆積土砂の搬出路等についても見落としのないよう留意する

 ことが大切である。

   以上です。

※上記の調節(整)池の構造(続き4)5.維持管理段階を見込

 んだ構造検討上の留意事項の説明文は「宅地防災マニュアル

 の解説」の引用です。

調節(整)池の構造(続き3)

4.防塵施設

 特に山間地に調節(整)池を設置する場合には、防塵施設につ

いて十分な検討を行う。一般に、洪水吐きは流入の流速を0.6m/

sec以下と設定してスクリーンの面積を決定する場合が多いが、

枯れ草、流木,ゴミ等の流入による閉塞のおそれがあるので、別紙

図のようなかご型として、スクリーンを設計することが望ましい。

  以上です。

※上記の調節(整)池の構造(続き3)4.防塵施設の説明文は

  「宅地防災マニュアルの解説」の引用です。

調節(整)池の構造(続き2)

3.洪水吐き

 洪水時における洪水吐きからの越流水深が高い場合には、あた

かも調節(整)池堤体から水があふれ出したがごとく見え、周辺

住民に恐怖感を与えることもあるので、調節(整)池設置に際し

ては、周辺状況を十分に踏まえた上で、できるだけ越流水深を浅

くし、水流エネルギーの確実な減勢を図ることが大切である。こ

のような場合は、別紙図のような対応事例がある。

 また、洪水吐きを設置する適切な地山が得られない場合や、十

分な減勢施設の設置スペースが得られない場合は、正面越流、横

越流、立坑型等の洪水吐きの形式を検討することが必要である。

  以上です。

※上記の調節(整)池の構造(続き2)3.洪水吐き、説明文は

 「宅地防災マニュアルの解説」の引用です。

調節(整)池の構造(続き1)

2.特殊な構造

 「防災調節池技術基準(案)」及び「大規模宅地開発に伴う調

 整池技術基準(案)」によらない特殊な構造の調節(整)池を

 計画する場合には、その安全性について、あらかじめ過去の実

 績や経験から地盤、水理・水文設計及び構造に詳しい専門技術

 者等と十分打合せ検討しておくとともに、河川管理者等の関係

 行政機関と十分調整しておかなければならない。 

  また、もたれ式の厚いコンクリート壁が、浸透流防止(堤体

 表面遮水)の効用を兼ねた堤体構造の一部としてアースダムの

 堤体上流側のり面に計画されることがあるが、堤体構造の一体

 性及び堤体の安全性を確保する観点から計画されるべきではな

 い。

  以上です。

※上記の調節(整)池の構造(続き1) 2.特殊な構造、説明文は

 「宅地防災マニュアルの解説」の引用です。

調節(整)池の構造

 調節池の構造については、「防災調節池技術基準(案)」によ

り、調整池の構造については、「大規模宅地開発に伴う調整池技

術基準(案)」によることを原則とする。

【解説】

1.調節(整)池の構造基準

  調節(整)池の構造は、大別して「堀込み式」と「ダム式」

 に分けられる。

  平坦な地形の流域に設置する調節(整)池は「堀込み式」と

 なるのが一般的であるが、この場合は、「下水道雨水調整池技

 術基準(案)を参考に構造を検討する。ダム式調節(整)池の

 うちフィルダムの構造については、「防災調節池技術基準(案)

 又は「大規模宅地開発に伴う調整池技術基準(案)」によるも

 の年、また、コンクリートダムの場合は「建設省河川砂防技術

 基準(案)」のダムの設計法を参考とする。

 「防災調節池技術基準(案)」及び「大規模宅地開発に伴う調

 整池技術基準(案)」では、調節(整)池に係る構造基準につ

 いて次の事項を定めている。

 ①ダムの型式

 ②ダム設計の基本

 ③堤体の基礎地盤

 ④堤体の材料

 ⑤堤体の形状

 ⑥ドレーンの設計

 ⑦のり面

 ⑧余盛

 ⑨洪水吐き

 ⑩非越流部天端高

 ⑪洪水吐きの構造等

 ⑫放流施設など

  以上です。

※上記の調節(整)池の構造の解説は、

 「宅地防災マニュアルの解説」の引用です。

調節(整)池の計画

 調節池の計画については、「防災調節池技術基準(案)」によ

り、調整池の計画については、「大規模宅地開発に伴う調整池技

術基準(案)によることを原則とする。

【解説】

1.調節(整)池の計画にかかる基準は、「防災調節池技術基準

 (案)」及び「大規模宅地開発に伴う調整池技術基準(案)」

  において、次の事項について定められている。

①洪水ピーク流量の算定方法

②洪水到達時間

③流出係数

④計画対象降雨

⑤流出ハイドログラフの算出(貯留・浸透施設を併用する場合

 を含む)

⑥洪水調節容量の算定法

⑦許容放流量の設定

⑧設計堆積土砂量

2.許容放流量の設定の際には、下流河川の局部的改良による流

 下能力の増加の可能性についても検討しておくことが大切であ

 る。

 以上です。

※上記の調節(整)池の計算についての解説文は、

 「宅地防災マニュアルの解説」の引用です。